工場・製造現場の温湿度記録
SwitchBotなどの対応センサーで作業エリアの気温と湿度を自動記録し、熱中症対策の判断材料を棟・工場ごとに残す。
このページの要点
- 2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則第612条の2で、熱中症を生ずるおそれのある作業について、報告体制の整備と、悪化を防ぐ措置の手順を定めて周知することが義務になりました。施行通達では、WBGT28度以上または気温31℃以上の場所で、継続して1時間以上または1日4時間を超えて行われる見込みの作業が対象とされています。
- 施行通達は、暑熱な場所かどうかを原則として作業場所でWBGTまたは気温を実測して判断するとしています。SwitchBotの温湿度計は気温と湿度を測れますが、WBGTは測れません。
- Sustiraは、作業エリアに置いた防水温湿度計の値を5分間隔で記録し、気温が31℃の目安に達したときにメール・Slack・LINEで通知します。記録は棟・エリアごとに整理され、最大10台・30日分を1つのCSVで出力できます。
- 暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場の半月ごとの法定測定(安衛則607条)は、Sustiraの記録では代替できません。測定の間の変化を残す補助記録として使います。
工場の温湿度に関わる法令と基準
熱中症対策(全業種)
| 規定 | 内容 |
|---|---|
| 労働安全衛生規則 第612条の2(2025年6月1日施行) | 熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ(1)熱中症の自覚症状がある作業者や、熱中症が疑われる作業者を見つけた者が報告する体制を整えて周知し、(2)作業からの離脱・身体の冷却・必要に応じた医師の診察など、悪化を防ぐ措置の内容と手順を作業場ごとに定めて周知する |
| 施行通達(基発0520第6号、令和7年5月20日) | 「暑熱な場所」はWBGT28度以上または気温31℃以上の場所。「熱中症を生ずるおそれのある作業」は、その場所で継続して1時間以上または1日4時間を超えて行われる見込みの作業。該当するかは、原則として作業場所でWBGTまたは気温を実測して判断する |
| 職場における熱中症予防基本対策要綱(基発0420第3号、令和7年5月20日一部改正) | WBGTの測定が行われていない場合でも、気温(乾球温度)と相対湿度を熱ストレスの評価の参考にする |
暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場(該当する作業場のみ)
| 規定 | 内容 |
|---|---|
| 労働安全衛生規則 第606条 | 暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場で有害のおそれがあるものは、冷房・暖房・通風など適当な温湿度調節の措置を講じる |
| 労働安全衛生規則 第607条 | 第587条の屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に気温・湿度・ふく射熱(ふく射熱は第587条1〜8号の作業場のみ)を測定する。測定日時・方法・箇所・条件・結果・実施者・改善措置の概要を記録し、3年間保存する(第607条第2項が第591条第2項を準用し、同項を通じて第590条第2項の記録・保存の規定による) |
| 労働安全衛生規則 第587条(対象) | 溶鉱炉・加熱炉などを使う作業場、陶磁器・レンガの焼成、加熱された金属の運搬・加工、ゴムの加硫、熱源を使う乾燥室、多量の液体空気・ドライアイスの取扱い、労働者が内部で作業する冷蔵庫・冷凍庫、多量の蒸気を使う染色・洗浄・めっき、給湿を行う紡績・織布など |
| 労働安全衛生法 第65条第2項 | 作業環境測定は、厚生労働大臣の定める作業環境測定基準に従って行う |
第607条の測定は作業環境測定基準に従って行う法定の測定で、Sustiraの記録で代替することはできません。Sustiraは、半月ごとの測定の間の変化を5分間隔で残す補助記録として使えます。
事務所・休憩室
事務所衛生基準規則第5条では、空気調和設備または機械換気設備を設けている場合、室に供給される空気のCO2を1,000ppm以下に調整し、空気調和設備がある場合は室の気温を18℃以上28℃以下、相対湿度を40%以上70%以下にするよう努めることとされています。
どこに何を置くか
| 場所 | デバイス(現在はSwitchBot製品) | 理由 |
|---|---|---|
| 製造エリア・倉庫エリア | 防水温湿度計 | IP65の防水・防塵構造。動作温度は−20℃〜60℃ |
| 荷捌き場など屋外に近い作業場所 | 防水温湿度計 | 雨や水はねがかかる場所にも置ける。直射日光が当たらない位置に置く |
| 事務所・休憩室 | CO2センサー / 温湿度計Pro | 事務所のCO2と、休憩室の温湿度を記録する |
| 各棟 | Hub 2 / Hub 3 | センサーのデータをクラウドへ中継する。電波が届く範囲にハブが必要なため、棟が離れていれば棟ごとに1台置く。ハブ自身も温湿度を測る |
- WBGTは測れません。湿度が高い現場では、気温が31℃未満でもWBGTが28度以上になることがあります。WBGT計での確認も併用してください。
- 60℃を超える熱源の近くには置けません。熱源のふく射や直射日光が当たると、周囲の気温より高く表示されることがあります。作業者がいる位置に近く、熱源や日射が直接当たらない場所に置いてください。
- SwitchBotの温湿度計は一般用途向けのIoTセンサーで、検定・校正の証明はありません。
- データの取得は5分間隔です。通知は、気温が変化してから数分以上遅れて届くことがあります。
計算例:棟・エリア数から台数とプランを出す
1工場を「3棟×作業エリア3か所」とし、エリアごとに防水温湿度計1台、棟ごとにハブ1台、事務所・休憩室にCO2センサーと温湿度計Proを1台ずつ置く構成で計算します。1工場は3棟×(3+1)+2=14台です。工場をGroupに、作業エリア9か所と「事務所・休憩室」(まとめて1つ)をRoomにするので、Roomは10です。
| 規模 | 台数 | Groups | Rooms | 目安プラン | 月額(税込) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1工場 | 14台 | 1 | 10 | Base | 19,800円 |
| 2工場 | 28台 | 2 | 20 | Manage | 49,800円 |
| 5工場 | 70台 | 5 | 50 | Governance | 99,800円 |
- Baseは台数15台・Group 2つ・Room 10までです。1工場は14台・Room 10でBaseに収まりますが、余裕は1台です。製造ラインごとにRoomを分けたい場合や、センサーを足す場合はManageを検討してください。
- 2工場は台数28台でBaseの15台を超え、Roomも20でBaseの上限10を超えるためManageです。
- 5工場は台数70台でManageの上限40台を超えるためGovernanceです。
- 台数は、SwitchBotアカウントに登録されている全デバイス(ハブや、Sustiraで監視しない製品を含む)で数えます。SwitchBotのデバイス代は月額に含みません。
夏季の記録を毎月まとめる手間
SwitchBotアプリで出す場合
CSVの出力はデバイスごとの操作です。1工場14台の1か月分なら、デバイスを選んで期間を指定して出力する操作を14回繰り返し、できた14個のファイルを表計算ソフトで1つにまとめます。
Sustiraで出す場合
工場(Group)・エリア(Room)・デバイスをチェックボックスでまとめて選び、期間(最大30日)とデータ間隔(5分〜1日)を指定して出力します。1回に選べるのは10台までなので、14台なら2回の操作で2つのCSVファイルになります。どちらも1行に1デバイス×1時刻の形式なので、見出し行を除いて下に貼り足せば1つの表になります。
期間比較の機能で、対策前後の夏を重ねて見比べることもできます。アプリとSustiraでの出力手順はSwitchBot温湿度計のデータをCSVで出力する方法で解説しています。
設定手順と通知ルールの例
- SwitchBotアプリで、ハブと各センサーを登録し、それぞれの場所に設置します。
- SustiraにSwitchBotのAPIトークンを登録します(ヘルプ:API認証情報の登録)。
- デバイスを登録し、工場をGroup、作業エリアと事務所・休憩室をRoomに割り当てます(ヘルプ:Groups / Rooms)。
- 下の表を参考に、通知ルールを作ります(ヘルプ:ルール設定)。
- 「設定」>「通知」で、メール・Slack・LINEの宛先を登録します。現場責任者や安全衛生の担当者を宛先にします(ヘルプ:通知の設定)。
通知ルールの設定例
| 対象 | 項目 | 条件 | 評価方法 | ねらい |
|---|---|---|---|---|
| 作業エリア | 温度 | >= 31℃ | 生データ(Raw) | 気温31℃の目安に達したデータを受け取った時点で知らせ、作業場ごとに定めた熱中症対策の手順を確認する合図にする |
| 事務所 | CO2 | > 1,000ppm | 60分平均 | 換気が足りているかを確認する目安にする |
| 全デバイス | 電池残量 | 20%以下 | 日次チェック | 電池切れで記録が途切れるのを防ぐ |
31℃の通知は、平均ではなく生データ(Raw)で評価してください。平均で評価すると、実測値が31℃に達しても平均が31℃を下回っている間は通知されません。通知は確認の合図であり、「継続して1時間以上」に当たるかどうかはグラフやCSVの記録で確かめてください。報告体制と悪化を防ぐ手順は、通知を待たず、暑熱な場所での作業が見込まれる時点で定めて周知しておく必要があります。WBGTはWBGT計で別に確認してください。評価方法は生データ(Raw)か、5分・15分・30分・60分の平均から選べます。通知ルールとCSVエクスポートは有料プラン(Base / Manage / Governance)の機能です。
よくあるご質問
SwitchBotの温湿度計でWBGT(暑さ指数)は測れますか?
いいえ。WBGTは自然湿球温度と黒球温度(屋外で日射がある場合は気温も)から求める指標で、SwitchBotの温湿度計が測るのは気温と湿度です。施行通達では、暑熱な場所かどうかは原則として作業場所でWBGTまたは気温を実測して判断するとされているため、気温31℃以上かどうかの記録には使えます。ただし湿度が高い現場では、気温が31℃未満でもWBGTが28度以上になることがあるため、WBGT計での確認も併用してください。
安衛則607条の半月ごとの測定を、Sustiraの記録で代わりにできますか?
いいえ。607条の測定は、587条に定める暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場が対象の作業環境測定で、労働安全衛生法第65条により作業環境測定基準に従って行う必要があります。587条1〜8号の作業場ではふく射熱の測定も必要です。Sustiraの記録は、法定の測定の間の変化を5分間隔で残す補助記録として使ってください。
SwitchBotアプリでもCSVを出せるのに、Sustiraを使う理由は何ですか?
SwitchBotアプリでも温湿度の履歴をCSVで出力できますが、出力はデバイスごとの操作です。3棟14台の工場で夏季の記録を毎月まとめるなら、毎月14回の操作で14個のファイルができ、それを表計算ソフトで1つにまとめる作業が残ります。Sustiraでは工場(Group)・エリア(Room)・デバイスをまとめて選び、期間とデータ間隔を指定すると、最大10台・30日分のデータが1つのCSVファイルに入ります。14台なら2回の操作です。
高温になる現場にもSwitchBotの温湿度計を置けますか?
SwitchBot 防水温湿度計の動作温度はメーカー仕様で−20℃〜60℃、防水・防塵はIP65です。60℃を超える熱源の近くには置けません。熱源のふく射や直射日光が当たる場所では、周囲の気温より高く表示されることがあるため、作業者がいる位置に近く、熱源や日射が直接当たらない場所に置いてください。
工場の規模に対して、どのプランになりますか?
3棟に作業エリアが3か所ずつあり、エリアごとに防水温湿度計、棟ごとにハブ、事務所・休憩室にCO2センサーと温湿度計を置く1工場(14台・Group 1・Room 10)ならBase(月額19,800円・税込)が目安です。同じ構成の2工場(28台・Room 20)はBaseのRoom上限10を超えるためManage(月額49,800円・税込)、5工場(70台)はManageの台数上限40を超えるためGovernance(月額99,800円・税込)になります。台数はSwitchBotアカウントに登録された全デバイスで数えます。
出典
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索) 第587条・第590条・第591条・第606条・第607条・第612条の2
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索) 第65条
- 事務所衛生基準規則(e-Gov法令検索) 第5条
- 厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」基発0520第6号、および「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」基発0420第3号(令和7年5月20日一部改正)(PDF)
- SwitchBot 防水温湿度計 製品仕様(SwitchBot公式サイト)
最終確認日:2026年10月1日
ご利用にあたっての注意
本ページの法令・通達・手引書・製品仕様に関する記載は、最終確認日の時点で当社が確認した情報をもとにした一般的な解説です。正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤りを含む可能性があります。法令や手引書、製品仕様は改正・改訂されることがあります。
実際の対応にあたっては、必ず最新の条文・通達・手引書・メーカーの情報をご自身でご確認のうえ、必要に応じて所轄の労働基準監督署・保健所や専門家にご相談ください。本ページの情報の利用は、ご自身の判断と責任で行ってください。
